スペイン旅行の楽しみのひとつが「バル巡り」。どんな小さな村にもバルがあり、スペインの食文化を知ることができる場所。
「バル」と言っても「カフェ」としての利用も可能。お酒好きも、コーヒー好きも、一人でも大勢でも、子連れでも、朝から晩まで利用できる(シエスタの時間に閉まっているところもあります)と、利用範囲が広いのがスペインのバル。
「とりあえずビール!」的な感覚でオーダーすべき食べ物と飲み物。本場スペインバルでの定番メニューをご紹介します!
コーヒー派?それともアルコール派?
スペインのバルでは、エスプレッソマシーンでコーヒーを淹れてくれるところがほとんど。早朝からお昼頃までは、コーヒーのいい香りが漂っていて、夜のバルとはまた別の顔。スペインと言えばコーヒーというイメージがないけれど、めちゃくちゃ美味しいのです。
スペインバルで味わうコーヒー
- 「カフェ ソロ (cafe solo)」 エスプレッソ 淹れたては特に美味しい
- 「カフェ コン レッチェ (cafe con leche)」 ミルクたっぷり入りが好みの人向け
- 「カフェ コルタード (cafe cortado)」コーヒーの味を残しほんの少しミルクを入れたい時
ちなみにアイスコーヒーを飲むという文化がないのか、アイスコーヒーを頼んだらちょっと困った顔をされた後に出てきたのは、淹れたてのエスプレッソコーヒーと山盛りの氷。この氷で冷やして飲んでね、ということだったのです。(もうかれこれ10年近く昔の話ですが……)
日本みたいにつくり置きしていないんだーって思った。でもこれはこれで不思議な感じがして美味しかった。
バルによっては、あま~いけれどクセになってやめられないホットチョコレート、「チョコラテ (chocolate)」がメニューにあることも。チュロスを一緒にオーダーして、チョコラテに浸して食べるのがスペイン流。
写真はバルではないけれどバルセロナのカフェ「La Pallaresa Xocolateria Xurreria」。ここのチョコラテ(swiss chocolateという名前)にハマってバルセロナ滞在の時は絶対に通ってた。チョコラテの存在が見えないほどの山盛りの生クリーム。その下に隠れているのがチョコラテ、一緒に味わうのはチュロス。嫌いな人なんていないはず。
豊富なワインの種類
昼からでもワインのむーっていう人にはバルは最高の場所。世界有数のワイン産地のスペインでは、もちろんスペイン産ワインばかり。
バルでグラスワインを頼むと、スペインワインでもハウスワインが出てきます。もしこだわりのワインがあれば、銘柄をしっかりと伝えることが肝心。
例えば、赤ワインで有名なラ リオハ州のワインを飲みたければ、「リオハ ワイン」とオーダーして。白ワインなら、ガリシア州のアルバリーニョ種が高級ワイン。
スペインワインの格付け
また、熟成されたワインが好きなら、好みに応じて「クリアンサ」、「レセルバ」、「グラン レセルバ」も一緒に伝えるのが大切。(「クリアンサ」→「レセルバ」→「グラン レセルバ」の順に熟成期間が長くなる)
ワイン以外のスペインならではのお酒
- 「カバ (cava)」 スペインの発泡ワイン
- 「チャコリ (Chacoli もしくは Txakoli)」 バスク地方の微発泡ワイン
- 「ティント デ ベラノ(tinto de verano)」 赤ワインをコーラで割ったもの
- 「サングリア」 赤ワインベースでリンゴやオレンジ、シナモンとかで味付けされたもの ジュースを入れることもありアルコール度数はワインほど高くないこともある
- 「シェリー」 ワインの一種。アルコール度数が通常のワインよりも高い
もちろんビールも置いてあります。ビール派なら、スペイン語でビールは「セルベッサ」だけれどもバルでは「ウナ カーニャ ポルファ ヴォール」と叫びましょう。ジョッキより小さなグラスに入った冷えた生ビールが出てきます。
肉好きなあなたへ。これを頼めば間違いなし!
「ハモン (jamon)」
ハモンはスペイン語で生ハムのこと。(「モ」を強く発音)。
スペインでバルに行ったらまずオーダーしたいのはやっぱりこれ!実は種類が色々あり奥深い。
- 「ハモン セラーノ (jamon serrano)」 生ハムの中でよく出回っていて値段も他よりもお手頃。
- 「ハモン デ イベリコ (jamon de iberico)」 イベリコ豚からつくられるもの
- 「ハモン デ イベリコ ベジョーダ (Jamon de iberico belloda)」 イベリコ豚の中でも最高級ブランド。なぜならドングリをエサとして食べて育ったイベリコ豚だけを使うから。霜降り肉のようで脂身がたっぷり、でも脂っこくなくしつこさを感じない味。
- ロモ (lomo)」 ロースハムのこと。
いくつかオーダーして食べ比べてみることができるのもスペインならでは。
「エンブティード (embutido)」
エンブティードはソーセージのこと。これもいろんな種類があって名前が違っていて少しややこしい。
- 「ロンガニサ (longaniza)」 豚のひき肉でつくられるソーセージの代表的存在。
- 「チョリソ (chorizo)」 熟成した豚のひき肉を材料。唐辛子を入れた辛いものと、甘味を感じる(辛くない)ものとあるから辛いものが苦手な人は注意。
- 「サルチチョン (salchichon)」 脂身が少ない豚肉とベーコンの組み合わせは。
- 「ブティハラ (butifarra)」 バルセロナが州都のカタルーニャ州が生産地で新鮮さが売りの豚ひき肉のソーセージ
でもこれらは似ているので正直あまり違いを感じないかも?!
- 「モルシージャ(morcilla)」 珍しいもの好きなら必見の豚の血液入りソーセージ
ロンガニサとモルシージャは、地域よって材料が違ったりするので、その土地のものを食べてみてください!
シーフードだって美味しい!
「プルポ ア ラ ガジェガ (pulpo a la gallega)」(ガリシア地方では「ポルボ ア フェイラ (pulpo a feira)」)
シーフードは調理法を変えていろんな食べ方で楽しめちゃう。
定番メニューのひとつ茹でたタコをパプリカパウダーとオリーブオイルをかけただけのシンプルな味付け。一口食べてびっくり、日本のタコに比べて、食感が柔らかいのが特徴。
他にもタラや、ツナ、アンチョビも目にすること多し。また、ガリシア地方へ行くと海沿いということもあり、ムール貝や生牡蠣は新鮮。
「パエリヤ(もしくはパエージャ/paella)」
スペイン料理と言ったら定番の一皿。
魚介類がふんだんに使われ、味がしっかりとお米に染み込んでいて一口食べて幸せを感じる瞬間。パエージャは魚介類だけではなく、パエージャ発祥の地バレンシア州ではウサギの肉と野菜で調理されるのです。他にもイカスミたっぷりの真っ黒なパエージャも。
また、カタルーニャ州では、お米の代わりにパスタを使う「フィデアウ (fideau)」が郷土料理。
「フリート (frito)もしくはフリータ (frita)」
揚げ物のこと。どこへ行ってもフライ、は人気の調理法の一つ。
タラ、イワシ、イカなど様々なシーフードのフライがあって、揚げ物の香りは、ただよってくると思わずオーダーしてしまう、危険な香り。
ニンニクたっぷりの一品やクリーミーなコロッケも大人気
「シャンピニオン アル アヒージョ (champinion al ajillo)」
マッシュルームを使い、たっぷりのニンニクとオリーブオイルに白ワインも加えて調理されたもの。
他にもエビ、イワシ、鶏肉などのバージョンも。料理を一層おいしくする魔法の食材がニンニクは、スペイン料理にもよく使われているのです。
「アリオリ (alioli )」
ニンニクとオリーブオイルのソースのこと。卵を加えてクリーミーなものもあり、バターの感覚でパンに塗って食べる。これが病みつきになり、パンが止まらなくなるので要注意。あっという間に食べ終わってしまったのか写真が残っていません(笑)
「クロケタ (croqueta)」
日本でいうコロッケだけれど、違いは日本ではジャガイモが基本だけれどスペイン版のコロッケは、ベシャメルソースつくるのでクリーミーさが売り。中身は生ハムかタラを入れることが多く、他にもチーズ、キノコ類やほうれん草もあり。
ジャガイモを使った一品いろいろ
スペイン語でジャガイモは、「パタタ (patata)」。ジャガイモを使った美味しい一品があるので覚えておいて損はない単語。
「トルティーヤ デ パタタス (tortilla de patatas)」
ジャガイモと玉ねぎ入りのビッグサイズのオムレツ。厚みがあって食べ応え十分。
スペイン全土、大概のバルで提供されていると言える定番中の定番メニュー。
「パタタス ブラバス (patatas bravas)」
みんな大好きフライドポテトに辛いブラバスソースをつけて食べるもの
「ウエボス ロトス (huevos rotos)」
フライドポテトの上に半熟卵がのっかっているだけ、という材料はとってもシンプル。でもこれがめちゃくちゃ美味しい。
これはマドリードでよく食べられる料理で、地域によっては探せないこともあるから、マドリードに行ったら必食!
スペインバルを攻略して、スペイン旅行がますます楽しくなる!
バルとの出会いは一期一会のようなもの。美味しいバルに出会うこともあれば失敗したかな、と感じることも。それも旅のよき思い出。実際に私もそんな経験たくさんあり。雰囲気良さそうに見えて入ってみたら、ワインは全然美味しくなかったり、逆にうーんって思いながら入ったら、あとから人が途絶えることなく入ってきて、美味しいタパスに出会えたり。
そして、一人では入りにくなあ、と思うかもしれないけれど、そんなの気にせず。旅行者や地元の人々との出会いも生まれる場所。もちろん相手にされなかったことも多々あり。そんな時は人間ウォッチング。スペイン人って本当によくしゃべるし、なんでこんなに寒いのに半袖なの?とか寒いのになんで中に入らずバルの外でおしゃべりしてるの?とか、ジェスチャー大きいなあ、何となく話していることわかったり、とか、なんでこんな遅い時間なのに子供たちもバルにいるの?とかもちろんイケメン探しながら(笑)いろんな発見があって面白い。これら全てが旅での楽しさ。
あー早くスペインに行って美味しいワインと生ハムが食べたい!!!!!